1分でわかるSE工法

1分でわかるSE工法

SE工法って何?

SE工法とは木造建築において新しく開発された建築手法です。
SE工法を使えば、木造建築の住環境を改善しながら、強度も高めることができるため、近年、大いに脚光を浴びている工法です。

SE工法は、鉄骨建築などで使われれる「ラーメン構造」と呼ばれる手法を木造建築に応用したことから生まれました。「ラーメン構造」というのは、ドイツ語の建築用語「ラーメン」(「枠」を意味する)から来たもので、「梁と柱を枠組みとして一体化させることで、強度を高める設計手法」です。

SE工法では、従来の木造建築のように、いくつもの余計な柱や壁で上部を支える必要がなくなるため、空間をさえぎる障害物が少なくなり、結果として、大きく開放的な間取りや採光が可能になります。
ラーメン構造では、事前に綿密な強度計算をしなければならないため、木材建築に応用することは難しいとされていました。均質な数字が得られる鉄やコンクリートとは異なり、木材には「節」や「割れ」があるため、歪みがあり、部位ごとに強度のムラが出てしまうので、建築材として正確な強度を割り出すことが難しかしいとされていたのです。

しかし、技術革新によって、木材建築にも新しい世界が開かれました。
一番の弱点であった接合部に、専用のボルトなど強固な金具をあしらうことで、強靭な接合を実現しました。また、基礎部分も、事前シュミレーションに基づいて強固に仕上げて補強することが可能になりました。

SE工法の工事には、強度の高い材料を選りすぐって、事前に乾燥させ、工場で加工された木材が使用されます。この材料だと、素材の均一化もなされているため、強度を割り出しやすいのです。
ラーメン構造の技術を活かした高強度の木造建築技術、それがSE工法なのです。

SE工法にはどんなメリットがある?
SE工法には、従来の木造建築にはなかった多くのメリットがあります。

木造の美点を維持した家を持てる

SE工法なら、木造建築の良さを残したままで強度も確保することができます。
木材の持つ吸湿性や熱伝導率の低さは、梅雨の季節にも室内の快適さを保ち、冬は熱を逃さず、夏は過ごしやすさを確保します。日本の気候風土に良く合った素材なのです。
木造の持つ独特の暖かみ、柔らかい木目の美しさは、室内装飾の一部として、それを好む人もたくさんいます。
しかしながら、災害に弱い点があったり、耐久性の問題から、従来、やむを得ず木造が断念されるケースがありました。
SE工法が登場したため、木造建築には新しい可能性がもたらされました。
強靭さや安全性を高めながら、元の木造建築の良さを折衷できる度合いが高まったのです。

より自然災害に強くなる

SE工法は、その性質上、事前に土壌調査や強度計算など構造に関するシュミレーションが念入りに行われるので、より自然災害にも配慮された設計が可能です。
従来の構造計算を行わない木造建築に比べると、強度が高く、安心できます。
SE工法は、もともと、阪神大震災で木造建築の被害が多かった点を反省して生まれた工法です。このため、自然災害も十分に考慮されています。
強度の高い材料が揃えられた上で、建築の質も高く、ほどんとの場合、住宅の性能保証書も出されます。また事後の保証体制も充実しています。
これまで、SE工法によって建築された住宅は何万軒もありますが、欠陥となるような事故は発生していません。
東日本大震災や、最近の熊本の地震でも、SE工法で建てられた住宅は倒壊を免れています。表面的なダメージを受けた家屋も、構造部分がきちんと残っているので、復旧のための手直し費用も安く抑えることができました。

台風・地震・津波など、日本では自然災害は避けることのできない天災です。10年に1度程度の災害対策の視点をもつことが必要です。
垂直・水平面での圧力、荷重、バランス、変形など、あらゆる要素を考えて設計を行わなければなりませんが、今までのところ、従来の一般木造家屋よりも、SE工法による建築の方が高いパフォーマンスを示しています。

資産価値を維持し、中古市場も作り出せる

SE工法による家は、今までの木造建築の家よりも、資産価値を長めに維持できる可能性があります。それに伴って新しい中古市場を作り出せるかもしれません。

従来の木造建築だと、どうしても年月を経ると劣化が激しく、リフォーム費用などを含めて資産価値の下落が激しくなります。古い木造建築は市場価値の面で劣ってしまうことが珍しくありませんでした。

しかし、基礎構造がしっかりしているSE工法で建てられた家は、長期の耐久性が高い上に、手直し費用も抑えることができます。
このため、自然とそのままの資産価値を維持でき、中古市場でもそれなりの強みを発揮できるのです。

余裕ある住宅環境を実現できる

ラーメン構造を基本として、安全面を確保しているので、家屋を支える支持材料を減らることができます。これにより、今までは難しかった様々な希望を住宅環境に反映することができます。

大胆な吹き抜け、遮蔽物のないすっきりとしたリビング、採光をよりよく取り入れるための大きな窓など、アイデア次第で、素晴らしい住み心地を実現できます。
バルコニーや張り出しスペースを大胆に設けたり、従来の木造では支障が出てしまう複数階建ても可能です。
土地家屋では手狭な感がある地域では、住宅に広々とした空間を確保できることは無視できないメリットと言えます。

保証期間が長い

工務店や施工会社にもよりますが、SE工法で建てられた家は、数十年単位の長めの保証期間が設けられています。
保証期間の長さは、いつまでも住み続けるために考慮する大事な条件です。
一生ものの住宅を考えておられるならば、メンテナンス費用などの面でも大いに有利です。

まとめ

以上のように、SE工法には様々なメリットがあります。これから新築を検討する方にとって、ぜひとも選択肢に入れていただきたいと思います。SE工法のデメリットについても別な記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
木造ということで長い伝統のある日本で、木造家屋に愛着のある方も少なくありません。
人間の「好み」は理屈ではないので、たとえ木造建築にデメリットがあっても、実現させたいと希望されてる方も多いでしょう。
SE工法の知識があれば、せっかくのマイホームで夢をあきらめずに済むかもしれません。