3. マンションや中古住宅の耐震補強方法

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2024/09/23

マンションや中古住宅における耐震補強は、建物の耐震性能を向上させ、地震に対する安全性を高めるために重要な措置です。特に、1981年以前に建築された旧耐震基準の建物は、地震に対する強度が不足している可能性があるため、耐震補強が必要です。以下に、マンションや中古住宅における耐震補強方法を説明します。

1. マンションの耐震補強方法

a. 耐震診断

まず、マンションの耐震性を確認するために耐震診断を実施します。これにより、建物の構造的な弱点が明らかになり、補強の必要性が判断されます。耐震診断は、専門の技術者によって行われ、マンション全体の耐震性を評価します。

b. 耐力壁の増設

耐震補強の基本的な方法として、耐力壁を増設する方法があります。マンションの躯体に新たな壁を追加し、建物全体の強度を向上させます。特に耐力壁が少ない部分や、揺れに対して弱い箇所に設置されることが多いです。

c. 柱や梁の補強

マンションの構造的な要素である柱や梁を補強することも重要です。鉄筋コンクリートの柱や梁に追加の鉄筋を加えたり、炭素繊維シートを巻きつけることで、耐震性能を強化することができます。

d. 基礎の補強

マンションの基礎部分が弱い場合、基礎補強が行われます。具体的には、地盤に杭を打つ、基礎部分に追加のコンクリートを流し込むなどの方法で、建物全体を支える力を強化します。

e. 免震・制震装置の導入

マンションの大規模な耐震補強には、免震装置や制震ダンパーの設置も有効です。免震装置は、建物と地面の間に装置を設置して揺れを吸収し、地震の影響を大幅に軽減します。また、制震装置(ダンパー)は建物内の揺れを和らげ、構造体の損傷を抑える効果があります。

2. 中古住宅の耐震補強方法

a. 耐震診断と補強プランの策定

中古住宅でもまず耐震診断を行い、建物のどの部分が地震に弱いかを確認します。その結果に基づいて、補強計画を立て、どの部分をどのように強化するかを決定します。木造住宅では特に、接合部や壁の補強が重要です。

b. 耐力壁の追加

中古住宅では、耐力壁の追加がよく行われます。特に古い木造住宅では、壁の構造が弱くなっている場合があるため、構造用合板などを用いて壁を補強することが一般的です。また、筋交いを追加することによって、建物の横方向の強度を高めることも有効です。

c. 基礎の補強

木造住宅の基礎部分が劣化していたり、古い建物では、基礎そのものが脆弱な場合があります。基礎補強では、基礎を強化するために新たにコンクリートを打設したり、既存の基礎を補強する工事が行われます。

d. 接合部の補強

中古住宅の木造構造では、柱と梁の接合部が弱いことが多いです。この場合、金物で接合部を補強することが一般的です。特に、地震の際に最も負荷がかかる部分を強化することで、建物全体の耐震性が向上します。

e. 屋根の軽量化

重たい屋根材を使用している場合、地震の際に建物全体にかかる負荷が大きくなり、倒壊のリスクが高まります。そのため、屋根材を軽量化することも耐震補強の一環として有効です。たとえば、瓦屋根を軽量な金属屋根やスレートに交換することが考えられます。

3. 費用の目安

  • マンションの耐震補強: マンションの耐震補強工事の費用は、建物の規模や必要な補強方法によりますが、数千万円〜数億円になることが一般的です。特に、免震装置を導入する場合は高額になることがあります。
  • 中古住宅の耐震補強: 一戸建て住宅の耐震補強工事費用は、50万円〜500万円が目安です。工事内容によって大きく異なり、耐力壁の追加や基礎補強、屋根の軽量化など、補強の範囲が広がるほど費用は増加します​

まとめ

マンションや中古住宅の耐震補強は、まず耐震診断を行い、建物の弱点を明確にした上で、耐力壁の増設や接合部の強化、基礎の補強などを行うのが基本です。費用は補強の範囲や内容によって大きく変動しますが、将来の地震被害を防ぐために非常に重要です。