1−1,地震に対する日本の住宅耐震基準の歴史

奈良の注文住宅工務店 エーティーエム建築 > お役立ちコラム > 1−1,地震に対する日本の住宅耐震基準の歴史

2024/09/23

日本の住宅における耐震基準は、地震大国である日本の災害歴史を反映し、時代ごとに強化されてきました。以下に、その歴史と重要な変更点をまとめます。

1. 1891年(明治24年)以前

日本で初めて地震が耐震基準に取り入れられるのは、1891年の濃尾地震がきっかけです。この地震は、全国に大きな被害をもたらし、建物の耐震性が議論されるようになりました。しかし、当時はまだ明確な耐震基準が存在せず、経験に基づいた建築方法が主流でした。

2. 1924年(大正13年)頃の耐震設計

1923年の関東大震災を契機に、建物の耐震性の重要性が認識されました。この地震では多くの木造建築物が倒壊し、死者14万人以上を出す大災害となりました。これを受けて、1924年に日本初の耐震設計基準が導入されました。この基準は、建物の重さと構造に対して地震の横揺れが与える影響を考慮したもので、基礎的な耐震性を持つ建物の設計が求められるようになりました

3. 1950年(昭和25年) 旧耐震基準の制定

1950年に施行された建築基準法で、耐震基準が正式に定められました。この基準では、震度5程度の地震に耐えられることを主眼に設計されており、住宅や公共建築物に適用されました。しかし、1950年代の技術と知識に基づいたもので、後に大きな地震が発生することで、改定の必要性が指摘されるようになります。

4. 1981年(昭和56年) 新耐震基準の導入

新耐震基準は、1981年6月1日に導入されました。この基準は、震度6~7の大規模地震でも建物が倒壊しないようにすることを目的としています。以前の旧耐震基準では、震度5程度の地震に耐えられれば良いとされていましたが、新耐震基準では、地震後も建物が使用可能な状態を保つことを目指し、耐震設計が大幅に強化されました。この改定は、建物の「変形性能」を重視し、建物が揺れに耐えつつ崩壊しないことを求めています​(

5. 1995年(平成7年) 阪神淡路大震災の影響

1995年の阪神淡路大震災では、多くの旧耐震基準に基づいて建てられた建物が倒壊しました。この地震を契機に、耐震基準の見直しが行われ、特に耐震補強工事の必要性が広く認識されました。また、既存の建物に対する耐震診断や補強が積極的に進められるようになり、新耐震基準に基づいた建物は、この地震において比較的良好な耐震性能を発揮したとされています。

6. 2000年(平成12年) 木造住宅に対する耐震性強化

2000年には、木造住宅に対する耐震性が強化され、柱や梁、接合部に対する厳しい設計基準が導入されました。これにより、木造住宅の耐震性が大幅に向上し、地震に強い住宅が普及しました。また、地盤や基礎の強化も重視され、家全体の耐震性能が向上しました​7. 2016年(平成28年) 熊本地震と現在の耐震基準

2016年の熊本地震では、新耐震基準のもとで建てられた多くの建物が倒壊を免れましたが、それでも被害を受けた建物が存在したため、さらなる耐震補強や地盤強化の重要性が指摘されています。現在の耐震基準は非常に高い水準にあり、住宅や公共施設における耐震設計は、大地震に対しても強い構造が求められています。

まとめ

日本の耐震基準は、過去の大地震の経験をもとに強化され続けています。1923年の関東大震災や1995年の阪神淡路大震災をきっかけに、設計基準が見直され、1981年の新耐震基準が導入されました。その後も、地震による被害の分析をもとに、木造住宅や高層ビルの耐震性能が強化されています。